09_株式会社パートナー
【会社名】株式会社パートナー
【代表者】代表取締役 比嘉 諭
【住 所】那覇市
【業 種】医療・福祉
【事業内容】介護事業

既存事業の安定運営を支える経営整理支援

既存事業規模における収益構造と運営課題の整理
本企業は、デイサービスおよび有料老人ホームを複数拠点で運営する複合型介護事業者として、安定した利用実績を背景に売上規模を維持・拡大してきました。一方で、拠点数の増加に伴い、人件費や地代家賃、外注費などの固定費が増加し、事業規模の拡大が必ずしも収益性の向上に直結しない構造となっています。加えて、拠点別・サービス別の収益状況を十分に可視化できておらず、経営判断に必要な情報整理やコスト管理の精度向上が今後の課題として整理されました。


3期比較による財務構造の把握と改善論点の整理
過去3期分および最新の決算書を基に、売上構造、費用構成、財務状況の推移について総合的な財務分析を実施しました。デイサービスによるフロー型収入と、有料老人ホームによるストック型収入を併せ持つ事業特性を整理するとともに、複数拠点を運営することによる固定費構造の特徴を明確化しました。具体的には、拠点数と人件費・地代家賃・外注費等のコスト水準との関係を定量的に整理し、事業規模の拡大と収益構造のバランスについて検討を行いました。また、貸借対照表の推移や資金の流れにも着目し、制度上の入金タイミング等、介護事業特有の財務上の留意点を整理しました。これらの分析結果を経営者と共有し、現状を客観的に把握したうえで、今後は売上規模の維持・拡大に加え、拠点別・サービス別の収益管理やコスト構造の精緻化を進めることが重要であるとの認識を確認しました。

現状認識の共有と安定運営に向けた方向性の整理
本支援を通じて、当該企業の事業基盤や売上構造の特徴を体系的に整理するとともに、今後の経営改善に向けた検討課題を明確化することができました。デイサービスと有料老人ホームを併せ持つ複合型事業としての強みを再確認する一方で、拠点数の増加に伴うコスト構造の特徴や、収益管理のあり方について、経営者との間で共通認識を形成するに至りました。特に、拠点別・サービス別に収益性を把握し、固定費の水準や配置の妥当性を継続的に検証していく必要性が整理されたことは、今後の経営判断における重要な成果です。また、短期的な対策にとどまらず、中長期的な視点で事業の持続性を高めていく方向性が共有され、今後は公的支援施策の活用も視野に入れながら、計画的に経営改善に取り組むための基盤が整いました。

介護職員の人員不足の問題
介護業界全体で少子高齢化による人手不足が続く中、賃金改善などの施策だけでは人材確保が難しい状況にあります。 当法人においても、24時間体制ゆえの不規則な勤務や、那覇市・宜野湾市という複数拠点での業務が障壁となり、育児や介護などの家庭事情を抱える職員が離職せざるを得ない状況が課題でした。


個人の働き方を可能にする
従業員の個々のライフステージや多様化するキャリア観に柔軟に応えるため、新たに「多様な正社員制度」を導入しました。具体的には、転勤を排し特定の事業所に深く根差して貢献する「勤務地限定正社員」、介護業務等の高い専門性を追求する「職務限定正社員」、育児等でフルタイム勤務が困難な人材向けの「短時間正社員」の3区分を新設しました。
導入にあたっては、従来の「無限定正社員」との公平性が最大の課題でした。そこで、各区分の業務範囲と責任を明確に定義し、基本給や賞与を合理的に算定する賃金制度を策定しました。さらに、ライフイベントの変化に合わせて区分を自由に行き来できる「転換ルール」も整備しました。これにより、家庭の事情による離職を未然に防ぎ、誰もが安心して長期的なキャリアを築ける強固な組織体制を実現しました。

人手不足の解消と長く安心して働ける会社へ
今回の取り組みにより、深刻な人手不足の解消への効果が期待できます。多様な働き方を選べることは、採用活動においても強力な武器となります。これまで「フルタイムは難しい」と諦めていた優秀な人材を幅広く受け入れられるようになります。
また、せっかく育てた中核人材が、介護や育児などの家庭の事情で辞めてしまうのを防げることも大きな成果です。一人ひとりが自分に合ったスタイルで無理なく働き続けられることで、職場全体の士気が高まり、定着率も飛躍的に向上します。さらに、業務範囲を明確にしたことで現場の混乱がなくなり、全員が効率よく働けるようになり、「長く安心して働ける会社」という信頼が社内外に広まることで、人材が集まりやすく、かつ離れない、変化に強い組織へと成長していくことが期待できます。



