04_株式会社K.C.M

【会社名】株式会社K.C.M
【代表者】代表取締役 喜瀬 守幸
【住 所】沖縄市
【業 種】医療・福祉
【事業内容】訪問看護

質の高い看護と従業員満足の実現

 当社は、質の高い看護の地域への提供を目的に、「訪問看護ステーション クォーレ」を開業しました。患者・家族、従業員、会社、連携先、地域が満足する取り組みを目指して、日々奮闘されています。
 訪問看護の現場はそれぞれの看護師が一人で対応しています。各看護師のこれまでの経験や専門性を理解した訪問看護体制を取っていましたが、病気だけではなく、患者や家族に向き合った看護を考えると、会社の方針と各看護師の想いとをさらに一致させていきたいと考えるようになりました。また看護師も自分の考えや行動が会社の方針と一致しているのかとの不安もありました。
 当社の理念に共感して集まってくれた社員に対して、安心して働ける勤務環境を整備し、満足度を高めていくことは、今後の採用や事業展開のためにも解決すべき課題であり、如何に解決していくかということが相談内容でした。

人事評価制度の作成支援

 当社の課題を「経営方針と看護師の行動を一致させていく」とし、その課題解決のために「人事評価制度」を作成することとしました。会社の方針を明確にし、それを看護師の評価にも合致させていくことで不安をなくし、公平性を見える化できます。
 客観性のある人事評価制度とするために、評価項目はできるだけ計数化するようにしました。また経営理念の浸透度など数値化できない項目は経営側の努力目標としました。

従業員の理解度・満足度の向上

 経営者も看護師も「質の高い看護を実践する」という認識は一致していましたので、「質の高い看護の内容」を会社として人事評価項目で明確にすることには従業員も賛成しています。もともと風通しの良い組織であり、人事評価制度の作成については従業員の意見や考えも反映されるものになりました。定例のミーティングで当社の役員従業員全員で情報共有やSWOT分析を行い、当社の強みや改善点などを確認した結果、統一した行動の重要性や人事評価制度の作成への理解が進んでいます。
 人事評価制度の作成は、当社の新年度までに行うことになりました。しっかり運用して従業員の満足度を上げていけるよう、運用についてもまた重要となります。
 従業員の満足度の向上は、質の高い看護の下地であり、また離職の減少や入社希望の増加にもつながります。
 2店舗目の出店も検討しており、今後のさらなる事業拡大にも期待しています。

就業規則の見直し

 創業2年目を迎えた中部地区で活躍する訪問看護ステーションです。県内の大手病院で豊富な経験を積んだ看護師と、銀行出身で金融知識に長けた人事担当者という、「攻め」と「守り」のバランスが取れた若い役員たちが運営の中心を担っています。多様なバックグラウンドを持つメンバーが一丸となり、地域の医療と福祉に貢献しています。
 現在、社員数は10名以下であるため、労働基準法上では就業規則の作成義務はありません。しかし、職場ルールを明確にすることで社員の働きやすさを向上させるという考えから、創業直後に就業規則が作成されました。この規則は厚生労働省の「モデル就業規則」をベースに作成されていますが、事業所の実態と乖離している箇所があるほか、法改正が反映されていない点もあり、改善の必要性がありました。
 また、若いステーションならではの柔軟な経営スタイルをさらに活かすためにも、就業規則の見直しは重要な課題です。今後は、これまでの労務管理の状況を確認しつつ、社員の声を取り入れながら、より実態に即した内容へと修正するご提案をしました。

企業型DCと退職金規程の運用と、助成金活用スキーム

 まず、現在運用している就業規則について法務チェックを実施し、不足箇所と改善箇所をリストアップしました。その結果、育児介護休業規程が未作成であることが判明し、就業規則全体のリニューアルを提案しました。元の規則を基に、就業規則、賃金規程、育児介護休業規程(労使協定を含む)、マイカー通勤規程、退職金規程、確定拠出年金規程を新たに作成しました。
 また、助成金活用スキームとして、キャリアアップ助成金の具体的な運用方法を提案しました。さらに、1か月変形労働制の適用方法を説明し、年間休日数から逆算した所定労働日数の説明を行いました。月給者の割増賃金や欠勤時の給与計算方法についても丁寧に説明し、労働時間管理や労働条件通知書の確認を通じて、適切な労務管理体制の整備を支援しました。これらを通じて、適切な労務管理体制の構築を支援し、社員が働きやすい職場環境の実現を目指しています。

人材の確保と定着化につながる

 就業規則のリニューアルにより、適切な労務管理体制が構築され、社員が働きやすい職場環境が実現しました。育児介護休業規程や退職金規程も新設できました。これにより、社員満足度が向上し、よりよい人材の確保と定着化が進む効果が生まれました。1か月変形労働制の導入や労働時間管理の見直しにより、労働条件が透明で分かりやすくなり、社員の安心感が高まりました。その結果、事業所は安定した人材配置が実現し、長期的な運営基盤が強化される成果を得ることができました。