02_有限会社糸工房

【会社名】有限会社糸工房
【代表者】代表取締役 糸満 盛希
【住 所】八重瀬町
【業 種】製造業
【事業内容】広告看板全般、展示会場設営、ディスプレイ

労働環境の整備による強い組織づくり

 経営環境が大きく変化する中、老舗としてこれまで培ってきた顧客と、社長の人脈を生かした新規開拓だけでは、今後の成長が望めないことを出発点として共有。
 また、外部環境においては、既存顧客からのニーズは多様化し、コスト低減、発注単位の小ロット化、発注時期の変更等、その要請は今後さらに高まることが窺われ、企業の生き残りのためには対応が急務であることを確認。
 一方で、強みである工場社員の技術力の高さ、勤続年数の長い社員の多さ、社長のネットワーク力、店舗製作のワンストップ対応力、ノベルティグッズ製作に必要なCAD、制作機器の最新型を保有している点等、競合との差別的優位性を明確化。
 その強みを活かし、環境の変化に対応することの重要性を共有し、人を育み、組織力を強化することの重要性を確認しディスカッションを深め方向性を導き出しました。本質的な課題の設定・共有を重視した取組を行いました。
 その結果、取り組むべき課題は、①労働環境の整備による強い組織づくり、そして正社員化と、②販路開拓にいきつきました。

認識合せ⇒環境分析⇒対応策の検討・実行

 老舗にありがちな、強みがあるものの、結果に結びつけていない要因を分析。まず、現在の環境を再度分析・整理(SWOT分析)を行い共有化。改めて、当社の凄さを称えて、その中で、どのような環境の変化が起こっているのか、今後どのような環境の変化が起きる可能性があるのか、環境の変化にどのように対応すれば生き残るかについて、社長に問いかけ、言語化・整理し、対応策へと導くことにしました。『答えは社長の中にある』を基本に、さまざまな視点・視座から問いかけながら、ブラッシュアップを行いました。
 また新たな取り組みに繋がる可能性のあるアイデアをぶつけ、実行可能な対策に優先順位をつけて取り組みました。

労働環境の整備

 働き方が多様化する中、勤続年数が長い方が多く在籍している糸工房の従業員さんも、それぞれの家庭環境・ライフスタイルに応じた働き方を求めています。また、高いスキルを保有した従業員(高齢社員も含む)に継続して長く勤務いただくことに向けて労働環境を整備することが、従業員と経営者がWinーWinになる取組です。以下2点を重点的に取り組みました。
①フレックスタイム制度を導入し労働環境の整備を図りました。それまで、退職を考えていた従業員が勤務を続けることができることに繋がり、その中から意欲のある従業員に正社員化を進めることで、組織体制の整備、強い組織づくりに向けて取り組みました。
②販路開拓として、既存顧客中心の営業体制から、新規開拓を重点戦略に位置づけ、体制を整えました。社員ご本人同意の上で、工場社員から営業社員への転換を行い、今後の販路拡大へ向けて取り組んでいます。結果、自ら技術を保有している社員のため、現場での提案営業が可能となり、社長とプロモーション件数、訪問件数等のKPIをしっかり握りながら、PDCAサイクルを回し、日々検証しながら改善に向け取り組まれています。

現状や法改正に合わせて就業規則を整備する

就業規則を長い間改定していないので、外部環境の変化とともに現状に合わなくなってきています。また、昨今の法改正にも対応できていないので改定の必要性を感じています。
 具体的には、
①各種手当について、実際に支給している手当がなかったり、支給していない手当が入っていたりしています。
②中小企業退職金共済制度を利用して退職金の積み立てを行っていますが、その規定がないです。
③2019年4月から従業員への年5日の年次有給休暇の確実な取得が義務化されましたが、現在の就業規則にはその規程が入っていないです。
④パワハラ防止法が施行されていますが、パワハラの禁止規定や相談窓口が設置されていないです。
⑤2022年10月、育児・介護休業規程が改正され「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が創設、また、1歳までの育児休業を分割で取得できるようになりましたが、現在の育児・介護休業規程では法改正に対応できていないです。

安心して働きやすい会社を創る

①年5日の年次有給休暇の確実な取得を明文化しました。また、有給休暇を取得しやすくするために、有給休暇が半日単位や時間単位で取得できるようにしました。
②令和4年4月1日から中小企業にもパワハラ防止法が施行されているので、パワハラ防止に関する規定や色々なハラスメントに対応できる相談窓口を設けました。
③家族手当を設け、家族を扶養しながら働いてる従業員の処遇改善を図りました。

④昇給の時期もあいまいだったので、毎年、10月に昇給を行うことを明文化しました。
⑤中小企業退職金共済制度を利用して、3年以上勤務した従業員を対象に退職金の積み立てを行うことを明文化しました。
⑥出生時育児休業制度(産後パパ育休)を追加しました。また、法改正に合わせて、1歳までの育児休業を分割で取得できるように修正しました。
⑦子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得できるように改定しました。

助成金を活用できる環境整備が整いました

 今回の支援を通して、正社員用就業規則と非正規社員用就業規則、そして、育児・介護休業規程の3つを整備しました。
・正社員転換制度を導入し、希望者は正社員に転換し雇用の安定を図っていきます。また、キャリアアップ計画書を作成し助成金センターに届出をしました。令和6年4月に採用した従業員がいますが、まじめに頑張っているので令和6年11月に正社員への転換を実施しました。
・36協定を作成し労働者代表と締結、労働基準監督署に届出しました。